【9月5日 AFP】日本の朝食には定番の「納豆」――その強い臭いが苦手な人もいるが、この臭いを抑える思いもよらぬ方法を金沢大学(Kanazawa University)の研究チームが生み出した。中国から飛来する「黄砂」に含まれる細菌を使うのだ。

 黄砂と共に飛来するバクテリアの調査を行っていた金沢大学の牧輝弥(Teruya Maki)准教授率いる研究チームは、納豆の製造過程で大豆を発酵させるために添加される納豆菌とほぼ同種の細菌を発見した。

 この菌を使って作られた「そらなっとう」は、通常の納豆と味は変わず、納豆独特の強い臭いが抑えられているという。

 検証を重ねた後、牧准教授のチームは地元の納豆メーカーの協力を仰ぎ「そらなっとう」の生産を委託。地元市場への参入を狙い、まずは大学構内で販売を開始した。

 牧准教授いわく、「そらなっとう」は通常の納豆と比べて臭いが少ないだけでなく、マグネシウムやカルシウムを多く含むため栄養価も高いという。

 黄砂は中国北部で砂塵が風により舞い上げられ、数千キロメートル先まで飛散する現象。時に日本や朝鮮半島の一部地域にまで到達し、人体に害を及ぼすこともある。

 納豆は日本国外ではあまり馴染みのない食品だが、欧米の一部の健康食品売り場では販売されている。(c)AFP