【8月9日 AFP】およそ200万年前に地球上を直立歩行していた現生人類の祖先は、少なくとも2つの近縁種と共存していたとする論文が8日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。現生人類の祖先「ホモ・エレクトス(Homo erectus)」のほか、近縁種で道具を作る「ホモ・ハビリス(Homo habilis)」、それ以前に出現していた「ホモ・ルドルフエンシス(Homo rudolfensis)」の3種が、同時代に存在していた可能性が高いという。

 今回の発見は、40年前に発掘された化石と近年発見された化石がジグソーパズルのように合致したことによってもたらされた。

 1972年、ケニア北部トゥルカナ湖(Lake Turkana)付近で約200万年前のヒト科の化石が発見された。「KNM-ER 1470」(1470)と名付けられたこの化石には下顎の骨が欠けており、正体は長年の謎だった。

 ところが、2007年~09年にトゥルカナ湖の東にある更新世の地層から、1470と同種と思われる歯と顔面、顎の化石の断片が次々に発掘された。新たな化石片は195万~178万年前のもので、全て1470の発掘現場から10キロ圏内で見つかった。論文の共同執筆者、フレッド・スプーアー(Fred Spoor)氏によれば新たな頭骨化石には、1470には無かった非常に保存状態の良い歯の化石も含まれていたという。

 化石を砂岩から丁寧に取り出し、スキャンを行って下顎を復元したところ、1470の上顎と合致した。また分析を進めた結果、さらに古い年代のヒト属であるホモ・ルドルフエンシスの化石であることがほぼ間違いないとの結論が出た。これが正しければ、1470は変形したホモ・ハビリスの化石だというこれまでの説は否定される。

 研究チームは、エレクトス、ハビリス、ルドルフエンシスの3種が衝突を避けながら共存し、異なる食物を食べていたとみている。

 40年前に1470を発見したミーブ・リーキー(Meave Leakey)氏は今回の発見について、「『人類の系統の起点に近いヒト属がどれほど多様だったのか』という、われわれの進化についての重要な疑問に答えるものであり、非常に重要だ」と述べている。(c)AFP/Mariette le Roux