【5月24日 AFP】街路の照明が昆虫の個体群に予想以上に強い影響を及ぼすとの研究結果が23日、英国王立協会(British Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表され、野生生物に対する人間の影響に新たな疑問を提起している。

 英エクセター大(University of Exeter)のトーマス・デービーズ(Thomas Davies)博士が率いた研究チームは2011年8月に3日間、英南西部コーンワル(Cornwall)州ヘルストン(Helston)周辺で捕虫器を仕掛け、60種1194匹の昆虫を採集した。

 この際、街灯に近いほど多くの虫が集まり、また個体数の多い種が群がっていた。アリ、オサムシ、ワラジムシを含む5種類の虫は、街灯と街灯の間よりも、街灯の真下の区画のほうが非常に多かった。また街灯の周辺には、そうした昆虫の捕食昆虫や、腐食性の昆虫も集まりやすかった。

 研究チームは、昆虫の個体群にわずかでも変化が起きれば食物連鎖に影響し、増える種もあるが、存続が脅かされる種もあると指摘し、「街灯はこれまで考えられていたよりも高いレベルで生物界に変化を及ぼしており、生態系の構成や作用を変えてしまう可能性が示されている」と述べている。

 街灯は世界で毎年平均6%のペースで増えているが、生物界へ与える影響は十分解明されていない。事例証拠では、街灯が都市部に住む鳥の体内時計を狂わせ、鳥が餌を食べる時間が長くなる他、キツネやネズミ類、コウモリといった哺乳類の食性に影響が出ることが知られている。

 次世代照明であるハロゲン照明やLED(発光ダイオード)照明は、従来の照明よりも光の放射波長域が広く、生物が反応する範囲まで含まれるため、論文は次世代の街灯の導入による影響に懸念を示している。(c)AFP