【5月8日 AFP】かつて地上を闊歩(かっぽ)した巨大な恐竜たちは、植物の葉をたくさん食べるためにガスを大量に生み出し、それが地球を温暖化させたのかもしれないとする研究が7日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。

 現代のウシが消化の過程で多くのメタンを排出するのと同じように、20トンもの竜盤類たちはウシよりも多量のガスを出し、気候を温暖化させた可能性があるという。

 約2億5000万年前から約6500万年前までの中生代は、現代よりも暑かったと考えられている。ブロントサウルスのような竜盤類は、その巨体と長い首で木の高い所にある葉を食べていた。このような恐竜は1億5000万年前には多数存在しており、1キロ四方に数個体から数十個体は生息していたとみられる。

 論文執筆者らによると、これらの竜盤類たちが1年間に排出していたメタンは、合計5億2000万トン(520テラグラム)に達していた可能性がある。この量は、現代のすべての動物と工業活動によるメタン排出を合わせた量に匹敵する。

 米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)の統計によると現在、地球上の家畜が放出するメタンの量は年間8000万トンほど。これは人間に関連した活動から排出されているメタンの総量の28%にあたる。

 英リバプール・ジョン・ムアーズ大学(Liverpool John Moores University)のデーブ・ウィルキンソン(Dave Wilkinson)氏は「単純な数学モデルに基づくと、竜盤類の体内に生息する微生物は、中生代の気候に重要な影響を及ぼすほどの量のメタンを産出した可能性がある」と述べ、「実際、われわれの計算によれば、これらの恐竜は、現代社会のすべての産出源(自然と人為的なもの両方)を合わせた量よりも多いメタンを生産していたことが示唆されている」と語った。

 近代の工業化が定着する以前の約150年前には、メタンの排出量は年間2億トン(200テラグラム)ほどで、中生代の排出量の半分以下だった。(c)AFP