【2月8日 AFP】脳がどのように言葉を聞いているかを解読する方法を発見したとする論文が、先月31日付の米オンライン科学誌プロス・バイオロジー(PLoS Biology)に発表された。脳卒中や麻痺で話せなくなった人の会話を手助けする技術開発につながる大きな成果だという。

 米カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)などの研究チームは、被験者の脳に電極を装着し、聴覚系の中枢である側頭葉が会話中にどのように音声を聞き、どの部分が反応しているかを追跡。記録される可聴周波数から、脳が聞いた言葉を把握し再現することに成功した。

 同大のブライアン・パスリー(Brian Pasley)氏は、「活性化される脳部位と実際に聞こえている音声周波数の帯域は、ほぼ対応していることが明らかになった」と説明する。

 把握できた言葉の1つは「structure」だった。高周波の音「s」と低調波の音「u」は、脳内でそれぞれ異なるパターンを形作った。「音の特徴とそれによって起きる脳活動はある程度、対応している。脳内に物理的に記録されたものをつなぎ合わせれば言葉を再現できる」(パスリー氏)

 次のステップは、音声を聞くプロセスと言葉や音声を思い浮かべるプロセスがどの程度似ているかを明らかにすることだ。その情報を活用すれば、話せない人が何を言いたいのかを理解することがいつの日か可能になるかもしれない。(c)AFP/Kerry Sheridan