【1月10日 AFP】地球から1000万光年離れた銀河をスキャンすることができる地上望遠鏡のデータを用いて、暗黒物質(ダークマター)の史上最大の地図を作製したと、国際天文学チームが9日、米テキサス(Texas)州オースティン(Austin)で開催中の米国天文学会(American Astronomical SocietyAAS)年次総会で発表した。

 暗黒物質は宇宙の約4分の1を占める物質と考えられているが、(暗黒物質の)重力による可視物質の歪みを観測するという間接的な手法でしか検出できないため、性質は謎のままだ。

「カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡レンジング・サーベイ(CFHTLenS)」プロジェクトのチームは、まず、銀河から発せられた光が暗黒物質の集合体のそばを通過する時にどのように歪められるかを研究。同望遠鏡の広視野イメージングカメラがとらえた5年分の画像をもとに、暗黒物質の新たな地図を作製した。

 プロジェクトに参加したカナダのブリティッシュ・コロンビア大(University of British Columbia)と英エディンバラ大(University of Edinburgh)によると、地図の幅は10億光年以上で、白で示された濃密な領域(銀河)と黒で示された空っぽの領域(暗黒物質)が網の目のように張り巡らされている。白い領域は、最大のもので月数個分はある。

 地図には、地球から約60億光年離れた銀河群や、宇宙の年齢の半分にあたる宇宙誕生から60億年後に発せられた光も含まれている。

 なお、暗黒物質の地図を作製する試みは、これまでは大部分をコンピューターによるシミュレーションに頼っていた。

 研究チームは、今後3年間で、地図の範囲を現在の10倍以上に拡大したい考えだ。研究者は、地図の拡大により暗黒物質の理解が深まり、暗黒物質と銀河の関係性が解明できるものと期待している。(c)AFP