【12月13日 AFP】火星の環境をモデル化したところ、火星の「広範囲」が生命居住可能という結果が出たとの研究が、12日の科学誌「Astrobiology(宇宙生物学)」に掲載された。

 論文を発表したのはオーストラリア国立大学(Australian National University)のチャーリー・ラインウィーバー(Charley Lineweaver)氏率いる研究チーム。地球と火星で温度と大気圧のモデルを比較し、地球に存在するような生命体が火星のどれほどの領域に居住可能かを調べた。

 地球は、中心核から上層大気までの全体積のうち、生命が居住しているのはわずか1%に過ぎない。一方、火星は、世界で初めてのモデリングの結果、3%が居住可能であることが分かった。とはいえ、その大半は地下にあるという。

■地下に生命の可能性

 火星の極ではすでに氷が発見されているが、研究チームは、「地球にいるような微生物が地球の基準で存在できるのに十分な」水を維持することのできる領域を調べた。

 火星は大気圧が低いため、火星表面では水は液体としては存在せずに蒸発してしまう。だが、ラインウィーバー氏によると、地下では、土壌の重みで必要な圧力が加わるため、液体として存在できる。また、一定の深さでは、火星の中心核からの熱によりバクテリアや微生物の生存に必要なだけの温もりがある。

■キュリオシティーでは探索困難か

 現在火星に向かっている米航空宇宙局(NASA)の無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」は、2012年8月に火星に着陸する予定だ。だが、ラインウィーバー氏によれば、キュリオシティーには生命を確認できるだけの十分な深さまで土壌を掘る能力が「残念ながら」無い。

 ラインウィーバー氏は、かつては火星の地下だったクレーターの表面を調べることで「少なくともその一端」を確認することはできると述べた上で、「だがこれら(クレーターの表面)は長い間地表に出ているため、揮発性物質がおそらくもう無いだろう。それに熱も冷めている」と語った。(c)AFP/Amy Coopes