【11月23日 AFP】アフリカゾウからアフリカの農園を守るには、ハイテク装置も人手も不要。ミツバチがいさえすればいい――。この発見をもとに簡単な装置を考案した生物学者の研究が22日、ノルウェー・ベルゲン(Bergen)で開催中の移動性野生動物種の保全に関する条約(Convention of the Conservation of Migratory Species of Wild Animals、ボン条約)締約国会議で紹介された。

 英オックスフォード大(Oxford University)のルーシー・キング(Lucy King)氏は、ミツバチの巣箱をつないだフェンスを考案した。ゾウがこのフェンスに触れると、ミツバチたちが騒ぎ出す。

 体重が最大7トンにもなるアフリカゾウは陸上では最大の動物だが、ミツバチにはめっぽう弱く、ミツバチの羽音が聞こえただけで退散する。ゾウの皮は分厚いものの、ミツバチたちは目の周りや鼻の中といった柔らかい部分に引き寄せられるためだ。

 キング氏の装置は、実際にケニアの複数の村で、作物を荒らし生計手段をも奪うゾウを農園に寄せ付けないという効果が発揮されているという。

 国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は、「彼女の研究は、自然に敵対するのではなく共存することで、国や共同体が抱える問題の多くの解決策が人類に提示されることを明確に示してくれている」と絶賛した。(c)AFP