【11月8日 AFP】洞窟の壁画などに描かれている「ぶち模様の馬」が、数万年前に実在していた証拠を発見したと、国際研究チームが7日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表した。

 研究は、独ライプニッツ野生動物研究所(Leibniz Institute for Zoo and Wildlife Research)進化遺伝学部門とドイツ考古学協会(German Archaeological Institute)自然科学科のメラニー・プリュボ(Melanie Pruvost)氏が主導した。

 チームが、シベリアとヨーロッパで発見された3万5000年前のウマ30頭の骨と歯を分析した結果、6頭が、現生するヒョウの様な斑点を持つ馬と遺伝子を共有していることが分かった。これまでは、壁画の描かれた時代からは黒色や鹿毛のような単色のウマのDNAしか発見されていなかった。

 つまり、洞窟壁画を描いた太古の絵描きたちは、抽象的な模様や象徴的な図像でなく、自分たちが見たものを絵描いていたことになる。

 この問題は考古学者の間で幾度も議論されてきたものだった。たとえば、フランスにある2万5000年前の壁画「Pech-Merleのまだら馬」は、白地に黒い斑点で描かれており、その理由をめぐって活発な議論が行われてきた。

 研究に参加した英ヨーク大(University of York)のテリー・オコナー(Terry O'Connor)教授(考古学)によると、旧石器時代の馬には斑点がなかったと考える研究者が多かったこともあり、馬の斑点は何かを象徴しているか、抽象的に描いたものではないかと議論されてきたという。

「だが、われわれの研究により、何かの象徴だと考える必要はないことがわかった。画家らは、目で見たものを描いたのだ」と、オコナー教授は語った。(c)AFP