【10月13日 AFP】大型の肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tレックス、Tyrannosaurus rex)は、これまで想定されていたよりも大型で、成長も速かった――。骨格標本を使った新たな手法で明らかになったとする研究結果が、12日のオンライン科学誌「PLoS ONE」に発表された。

 英ロンドン大の王立獣医カレッジ(Royal Veterinary College)のジョン・ハチンソン(John Hutchinson)氏と米フィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)のピーター・マコビッキー(Peter Makovicky)氏率いる研究チームは、Tレックスの骨格標本5体にデジタル処理で肉付けし、Tレックスはこれまでの推定より最大30%大きく、成体への成長速度も2倍であったことを見出した。

 5体の中には、これまでに発見されているTレックス標本の中で最も大きく、完全な標本に最も近い「スー(Sue)」が含まれている。6700万年前に生息していたスーは、1990年、米サウスダコタ(South Dakota)州の先住民居住地で、米古生物学者のスー・ヘンドリクソン(Sue Hendrickson)氏により発見された。

 スーはこれまで、体長13メートル、体高3.5メートル、体重約6.4トンと推定され、大型のゾウかサイ程度の大きさと考えられてきた。だが、最新の手法によれば、スーはこれらのサイズを上回り、体重は9トンもあった。

■「ティーンエイジャー」期には毎日5キロずつ太っていた

 恐竜の体重の推定には、これまで、恐竜の縮尺模型が用いられてきた。今回研究チームは、実際の骨格標本で3Dのレーザースキャンを行い、デジタル模型のためのテンプレートを作成。想定される肉の量を3通りはじき出し、テンプレートに肉付けしていった。

 5体全部の新たなサイズが確定したことで、成長速度が想定より速かった可能性も明らかになった。

「成長著しいティーンエイジャー期には体重が1年で1790キロずつ増えていたと考えられる。これは従来予測の2倍以上だ」とハチンソン氏は語った。これは、成長期には毎日、約5キロずつ太っていったという計算になる。(c)AFP