【9月15日 AFP】天の川銀河には何本もの「腕」があり、太陽系もその腕の1本に属している。これらの腕はどのようにして出来たのだろうか?

 天の川銀河が現在のわい小銀河に衝突され、衝撃で飛び出た大量の星が銀河の端に引き寄せられたことが原因だったとする論文が、14日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。衝突は過去20億年で2度発生しており、1000万年以内には3度目が起きると見られるという。

 天の川銀河と衝突したのは「いて座わい小楕円銀河(Sagittarius Dwarf Elliptical Galaxy)」。天の川銀河のバルジに近い上に反対側の遠く離れた場所にあるため、観測は難しい。大きさは、ほかの銀河に比べれば小人のようだ。

 ただし、銀河から大量の星が太い帯状に連なっていることは、このわい小銀河がかつては大きかったことを物語っている。

 米天文学者チームは高性能望遠鏡を使ってこの不思議な残存物を観測し、コンピューターでシミュレーションを行った。その結果、この銀河が競合する軌道経路を通じて天の川銀河に衝突していた可能性を見出した。

 この大規模な衝突の衝撃で、両方の銀河から星が噴出。これらは天の川銀河の回転の影響で外側へ引っ張られ、現在の腕になった。

 なお、衝撃の源は、謎の多い見えない物質、「ダークマター」の分厚い層と考えられるという。

 米アイオワ州立大(Iowa State University)のカーチス・ストラック(Curtis Struck)氏は、この仮説は「天の川銀河が静かでのどかな銀河『集落』に住まってきた」とする概念に強烈なパンチを加えるものだと、解説で述べた。「野獣に注意せよ、一見静かな銀河の中にあっても」と、付け加えている。(c)AFP