【7月14日 AFP】恐竜絶滅の原因をめぐる30年続く論争で、このほど「巨大いん石衝突説」を支持する新たな証拠が寄せられた。

 いん石衝突説は、約6500万年前に巨大いん石が現在のメキシコ・ユカタン半島(Yucatan Peninsula)に衝突して大規模火災が発生し、大量の灰やちりが地球を覆って太陽光をさえぎったため、地球が冷やされて恐竜が直接・間接的に依存していた植生を絶滅させ、恐竜が死に絶えたというもの。

 この仮説の否定派は、巨大いん石の衝突が白亜紀と第三紀の境界で起こったという証拠には異議を唱えないが、この衝突のはるか前に恐竜は既に絶滅していたと主張している。その根拠とされるのが、恐竜化石の宝庫である米モンタナ(Montana)州東部とノースダコタ(North Dakota)州西部の分厚い堆積層で、白亜紀・第三紀境界より以前の深さ3メートルの層からは化石が1個も見つかっていない点だ。

 この、いわゆる「3メートルギャップ」は、恐竜が恐らくは気候変動か海水位の変化によって徐々に数を減らし、いん石衝突よりはるか昔に絶滅していたことを示していると、否定派は言う。

■3メートルギャップは「存在しなかった」

 米エール大(Yale University)の研究チームは13日、英国王立協会(Royal Society)の会報「バイオロジー・レター(Biology Letter)」に、否定派のこの反論が正しくないことを示す確かな証拠を発見したとする論文を発表した。

 この証拠とは、モンタナ州南東部のヘルクリーク(Hell Creek)で発掘された角竜類の全長45センチの角の化石だ。白亜紀・第三紀境界の堆積層の最下部より13センチ下で発見されたという。

 論文は「この化石の発見によって、白亜紀の3メートルギャップが存在しないことが証明された。非鳥類型恐竜が巨大いん石の衝突より前に絶滅したとする仮説とも符合しない」と結論付けた。ただし、研究を率いたタイラー・ライソン(Tyler Lyson)氏は、「いん石衝突後に堆積した深さ1メートル25センチの層で化石が1個も見つかっていないのは不思議。謎の解明が待たれる」とも話している。(c)AFP