【7月4日 AFP】東京大学(University of Tokyo)の加藤泰浩(Yasuhiro Kato)准教授らの研究チームが、太平洋の海底にレアアース(希土類)を大量にふくむ泥の鉱床を発見し、その調査結果を3日付の科学誌「ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表した。

 レアアースは液晶テレビやパソコン製品から電気自動車や超伝導磁石まで、様々なハイテク製品に欠かせない資源だ。レアアースを含む鉱床の発見は、全世界生産量の97%を占める中国が市場を独占する現状を変えるものとなりそうだ。

 加藤准教授らの研究チームが、太平洋の海底78か所から採取した地層を調べたところ、中央太平洋と仏領タヒチの東太平洋の4000メートルから5000メートルの深海の鉱床に大量のレアアースが含まれていることが分かった。

 北太平洋にある、こうした鉱床の1つでは、わずか1平方キロの面積内に世界消費量の1年分の2割に相当するイットリウム(レアアースの1種)が含まれているという。

 海底からレアアースを採取するには、酸性の化学薬品を用いて泥を吸い上げる技術が必要だが、採取に要する時間は数時間程度で、化学薬品を海に投棄しない限りは環境への影響もないという。

 だが、4000メートルから5000メートルもの深海から泥を吸い上げることが技術的に可能か、また吸い上げた泥に商業価値があるかといった問題がある。

 この点について、加藤准教授はAFPの電子メール取材に対し、「私は技術者ではなく、地球科学者だ」と前置きしたうえで、30年前にドイツの鉱山企業が紅海(Red Sea)深海の土の採取に成功した例をあげ、鉱資源として深海の土を採取する技術も開発可能との見方を示した。(c)AFP/Richard Ingham