【5月26日 AFP】国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に滞在しているスペースシャトル「エンデバー(Endeavour)」の乗組員のうち2人が25日、減圧症予防を目指して編み出された新たなエクササイズを行った後、船外活動を開始した。

 米航空宇宙局(NASA)は「ドリュー・フューステル(Drew Feustel)飛行士とマイク・フィンケ(Mike Fincke)飛行士は米東部時間午前1時43分(日本時間午後2時43分)、宇宙服をバッテリー電源に切り替え、6時間半を予定している本日の活動を開始した」と発表した。

 減圧症は潜水していたダイバーが急激に水面へ上昇した時に、水圧の急変によってなどに生じる健康障害。体内に気泡が生じ、痛みを感じるほか、まれに死に至ることもある。しかし呼吸法と緩い運動の組み合わせでこれを予防することができる。

 NASAでは、このエクササイズを正式には「ILE」(in-suit light exercise prebreathe protocol)と呼んでいるが、「スローモーション・ホーキーポーキー」という愛称がある。

 過去70回に及ぶ船外活動の前日、飛行士たちは、宇宙ステーション内の気圧(約14ポンド/平方インチ)と、宇宙服内の気圧(約4ポンド/平方インチ)の間の気圧10.2ポンド/平方インチに保たれた別区画でひと晩を過ごしてきた。

■別区画で体を慣らすステップの省略が可能

 この新しいエクササイズには、この別区画で体を慣らすステップを飛ばしつつ、血流内からゆっくりと窒素を除去する狙いがある。「自覚的運動強度指数」のスケールでいえば、20のスケールのうち6程度で、何もしないで座っている程度の運動度だが、飛行士たちは、約70分間かけて1マイルを歩いたのと同じくらいの軽い運動に相当する、スケール7程度を目指したという。

 NASAでは宇宙服姿の飛行士たちが非常にゆっくりと、膝から下を交互に蹴り出しては止め、間に水をかくように手を動かすという体操を行っているビデオを公開した。

 エンデバー最後のミッションとなる今回の船外活動はこれで計画されていた4回のうち3回目。宇宙船外に無線アンテナを取り付け、またロシア棟の一部を修繕するのが目的だ。(c)AFP