【5月18日 AFP】フランス国立科学研究センター(CNRS)の研究チームは16日、地球から20光年の距離にある惑星が、生命生存の条件を満たしている惑星であることを確認したと発表した。生命生存の条件を満たしているとされた太陽系外惑星は初めて。

 この惑星は、赤色矮星「グリーゼ581(Gliese 581)」のまわりを公転する惑星「グリーゼ581d(Gliese 581 d)」。地球の7倍の質量を持ち、大きさは約2倍、地球から最も近い太陽系外惑星の1つだ。グリーゼ581の、いわゆる水が沸騰してしまうほどに暑くはなく、水が常に凍ってしまうほどには寒くない「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」の外れを公転しており、気温はちょうど水が液体で存在できる程度だ。

 だが、2007年の発見当初は、生命が生き延びることのできる環境ではないと考えられていた。太陽放射は地球の3分の1以下しかなく、また、自転と公転が同期していて、つまり一方の面だけがずっと太陽の方を向き、反対の面はずっと夜の状態になっているとも考えられた。

■CO2層の思わぬ作用

 しかし、CNRSの気候科学者、ロビン・ワーズワース(Robin Wordsworth)氏やフランソワ・フォルジェ(Francois Forget)氏らの研究チームが実施した新たなモデリングで、グリーゼ581dの驚くべき可能性が明らかになった。

 まず、温室効果ガスであるCO2の分厚い層に包まれているおかげで、熱が逃げにくくなっている。さらに、グリーゼ581が発する赤色の光線は、グリーゼ581dのCO2層を通過して地表を暖める効果がある。研究チームによると、グリーゼ581dは海や雲、それに降雨が発生する程度に暖かいという。

 研究チームはグリーゼ581dについて、地球のような生命体が生存するための十分な水分と温暖な気候を持つことができると結論づけた。

■光速宇宙船なら20年

 ところで、すぐにでも宇宙旅行に行きたい人びとにとっては、グリーゼ581dは「かなり奇妙な場所になるだろう」と研究チームは述べる。「分厚い大気と雲で、地表は常に暗い赤い光で照らされているだろう。それに質量の大きさから重力は、地球の重力の約2倍あるだろう」

 とはいえ、そもそも現代の科学ではまだグリーゼ581dに旅行することは不可能だ。光速に近い速度で飛行する宇宙船でも、グリーゼ581dまでは20年以上かかる。現在のわれわれのロケットでは、たどりつくのに30万年がかかってしまう。

 論文は英学術誌「Astrophysical Journal Letters」に掲載される。(c)AFP