【5月12日 AFP】高温で巨大な系外惑星はなぜ「逆方向に」公転するのか。その謎を解明したとする論文が11日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 この謎を突きつけているのが、木星と同等またはそれ以上の質量を持ち、しばしば主星の極めて近くを公転している「ホットジュピター」だ。これまでに、一部の星系で、主星の自転方向と反対の向きに公転(逆行)するホットジュピターが見つかっており、天文学者たちを悩ませている。すべての惑星が太陽の自転方向と同じ向きに公転(順行)しているわれわれの太陽系から見たら、奇異なことだからだ。

 論文を執筆した米イリノイ(Illinois)州ノースウエスタン大(Northwestern University)の天体物理学者、フレデリック・ラシオ(Frederic Rasio)氏は、「われわれはこれまで、太陽系こそが標準と考えてきた。しかし系外惑星系を調べ始めると、すぐに奇妙な現実が続々に分かってきた」と話す。

 ラシオ氏のチームは、この難問を解決するための新たなモデルを考案した。まず、太陽と同程度の大きさの主星の理論的基礎をもとに、比較的接近した巨大惑星2個が主星から遠く離れた軌道で「順行」していると仮定した。

 モデルによると、2個が接近すると重力結合が生じ、内側の惑星に激しい潮汐力が発生。内側の惑星の軌道は長い年月をかけて偏心、針状に変化しながらしぼんでいき、ついには主星の近くへ引きずられていった。これがのちのホットジュピターで、その過程で公転の向きが反転した。

 ただし、このモデルで説明できるホットジュピターは、これまで見つかった中の4分の1程度に過ぎないという。

 これまで、さまざまな説が提唱されているが、その1つは、連星系の片方の星がもう片方を重力で引き寄せる過程で反転が起こったというものだ。

 系外惑星は、1995年に初めて発見されて以来、これまでに500個以上が見つかっている。別の研究者と共に系外惑星の存在を初めて明らかにしたスイスの天文学者、ディディエ・ケロス(Didier Queloz)氏は、「わたしたちの太陽系は、無限に多様化した惑星軌道、無限にある可能性の中の一例に過ぎない」と話している。(c)AFP