【4月15日 AFP】ザトウクジラの間で毎年「ヒットソング」が生まれていることを突き止めた豪クイーンズランド大学(University of Queensland)による研究結果が14日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。

 クジラの雄は雌クジラの気を引くために低音で「歌」を歌う。研究によると、ザトウクジラの世界に「キング・オブ・ポップ」が存在するとすれば、おそらくオーストラリア東部沖にいる可能性が高い。過去10年間の調査から、毎年、クジラの間に広まる「ヒットソング」は、オーストラリア東部沖から始まっていることが確認されたからだ。

「ヒットソング」はオーストラリア東部沖から、徐々に南太平洋(South Pacific Ocean)、フランス領ポリネシア(French Polynesia)へと伝わっていき、最終的に遺伝子的に同種のクジラはみな、繁殖期に同じ歌を歌うという。

 研究に加わったクイーンズランド大の大学院生エレン・ガーランド(Ellen Garland)さんによると、「ヒットソング」は必ずしも全く新しいものというわけではなく、例えるならば「ビートルズ(Beatles)とU2の歌をあわせたような感じ」ということだ。しかし、「クジラたちは時折、それまで歌っていた歌を捨て去り、新しい歌を始める」という。

 クイーンズランド大の研究チームは、11年間を費やした研究について、「広大な地域に広がる多数の群れの間で繰り返されてきた変化のダイナミズムを、初めて体系的にまとめたもの」と評している。(c)AFP

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