【2月15日 AFP】有人火星探査を想定したロシアのシミュレーション実験「Mars-500」に参加しているボランティア2人が14日、疑似火星に降り立った。

 この実験は、火星探査ミッションで長期にわたって隔離状態に置かれる宇宙飛行士の心理面への影響などを測定することを目的に、ボランティア6人が宇宙船に見立てたカプセルのなかで520日間を過ごすという前例のないもの。「火星歩行」は、長期閉鎖実験の折り返し点となる。

 この記念すべき日、白い宇宙服とブーツ姿のロシア人とイタリア人ボランティアが、カプセル外に姿を現し、赤い火星の地面に足を踏み出した。参加者がカプセル外に出てたのは、これが初めてだ。

■「火星」の砂も採取

 続いてボランティアは、火星の表面を数歩あるいて実験を支援するロシア、欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)、中国の国旗を地面に立てたあと、火星の砂を採取した。ロシアと欧州は、2040年までに同じ行動を本物の火星で実現させる計画だ。

「火星歩行」の一部始終は、ロシアの宇宙管制センターに中継され、ロシアと欧州宇宙機関の科学者が見守った。画面は粗く、雑音だらけの映像は、人類が始めて月面着陸した映像を思わせる。だが、実際のところ、ボランティアたちは、モスクワ(Moscow)の研究施設から一歩も出てはいない。

 このほかにもボランティアらは、火星の磁極計測や、ロシアの有人月面着陸計画のために開発された特殊器具を用いた探査活動を行うことになっている。

 火星探査を想定した長期閉鎖実験は、地球への疑似着陸をもって11月に完結する予定。(c)AFP/Laetitia Peron

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