【1月27日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は26日、これまで見つかった中で最も古い銀河をハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)を使って発見したと、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 前年5月に行われたハッブル修理ミッションで搭載された広視野惑星カメラ3(Wide Field and Planetary Camera 3)がとらえた小さな光の「しみ」は、宇宙が誕生した「ビッグバン」から約4億8000万年後に生まれた原始銀河で、地球から132億光年の距離にあると判明。「UDFj-39546824」と命名された。後世に生まれた銀河よりも小さく、地球のある天の川銀河と比較すると100分の1しかない。 

 銀河の年齢は、赤方偏移の測定をもとにしている。地球に届く光は、その移動距離が長いほど、波長は長く「赤く」なる。これが赤方偏移と呼ばれる現象で、宇宙が膨張し続けていることから、この数値が高いほどその天体は古いことになる。

 今回発見された銀河の赤方偏移は10.3で、これまでで最高の8.6を大きく上回った。さらに古い銀河が存在する可能性も高いが、その発見には次世代センサーの配備が待たれる。

■短期間で星が急激に増加

 今回の観測ではほかに、赤方偏移8.3以上の銀河が3個見つかっている。観測チームによると以上の事実は、ビッグバンから約4億8000万~6億5000万年後に、銀河が劇的な変化を経験したことを物語っており、この1億7000万年の間に初期宇宙の星の誕生速度は10倍になったという。

 観測チームの1人、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California at Santa Cruz)のガース・イリングワース(Garth Illingworth)教授は、「宇宙の生涯のわずか1%にあたる期間に星が急増したことは、驚きに値する」と指摘した。

 星の増産にともない、銀河の数も増えた。この事実は、銀河が「ダークマター」の引力により形成されるという説を支持するものだという。(c)AFP