【1月3日 AFP】2011年は宇宙天気の観測にとって重要な年となりそうだ――太陽の「極大期」が迫っているからだ。

 太陽の表面の状態は常に一定なのではなく、活動の少ない静かな時期と、嵐が吹く大荒れの時期があると聞くと驚く人も多いかもしれない。しかし、強い磁場が存在する太陽の黒点を2世紀にわたって観測してきた結果、太陽の活動には約11年の周期があることが分かっている。

 最近の活動周期は1996年に始まっており、理由は不明だが、予測よりも長引いている。しかし、太陽がついに不活発な時期を終え、活動のクライマックスである極大期に近づいている兆候が現れている。

 米海洋大気局(NOAA)宇宙天気予報センターのJoe Kunches氏によると、最新の予測では2013年半ばごろに極大期のピークに達するとみられている。しかし、地球上の季節と同様、ピークをはさんで極大期が前後のどちらかに2年半程度、長引くことはあるという。

 最も活発な時期、太陽からは電磁放射やコロナ質量放出(CME)がみられる。これらから生じる静電気の放電と強力な磁気嵐によって、インターネットとデータなしでは成り立たないわれわれの社会が依存している電子機器にも影響が生じるかもしれない。

 それよりも脅威は少ないがやはり問題なのは、太陽フレアにより発生し、地球まで数分で届く高エネルギー荷電粒子だ。その最前線に静止軌道上の通信衛星や、衛星利用測位システム(GPS)用衛星がある。

■経済に打撃を与えることも

 1994年1月にはカナダの通信衛星Anik-E2が静電気放電の影響で停止し、5か月間で5000万ドル(現在の為替レートで約40億円)規模の損害が生じた。2005年には太陽嵐によって生じたX線で地上と衛星間の通信やGPS信号の受信が約10分間、中断したこともある。2010年4月には、北米の通信を支えているインテルサット(Intelsat)の通信衛星「ギャラクシー15(Galaxy 15)」の地上との接続が途絶えたが、これもおそらく太陽活動の影響とみられている。

 人工衛星メーカー、アストリウム(Astrium)のティエリ・デュアメル(Thierry Duhamel)氏によると、こうした影響を回避しようと衛星の設計者たちは、重量が増えることによるコスト増を承知の上で、より強固で十分実験済みの部品や遮蔽(しゃへい)材を使おうとする。

 一方、空ばかりか地上でも送電線やデータ通信、石油やガスのパイプラインなどに影響が出る可能性がある。

 1859年、観測史上最大とされるCMEの際には、赤、紫、緑のオーロラが熱帯地方でも観測された。当時登場したばかりだった電報には支障が生じ、地磁気誘導電流(geomagnetically-induced current、GIC)が流れた電線に触れた電信オペレーターが感電したり、電報用紙が燃えたこともあった。

 約100年後の1989年の太陽フレアはずっと小さかったが、カナダのケベック(Quebec)州にある水力発電所を停止させ、9時間の停電で600万人が影響を受けた。

 2008年に行われた米国の宇宙天気予報専門家のワークショップでは、1921年に発生したものと同程度の太陽嵐が今日起これば、主要な変電所350か所で障害が生じ、1億3000万人以上が停電の被害を受けるとの予測が発表された。さらに大規模な太陽嵐が発生すれば、発生後1年間の損失は1兆~2兆ドル(約80~160兆円)にのぼり、完全復旧に4~10年かかる恐れもあるという。

 NOAAのKunches氏は「極大期の影響については誇張して話されている部分もあるかもしれないが、実際、太陽についてはまだわれわれが知らないことはたくさんある」と言う。「活動が活発でない時期や極小期でも、太陽で非常に強力な磁場が生じることもある。いずれにせよ、太陽は周期的に変化しているのだ」(c)AFP/Annie Hautefeuille and Richard Ingham