【9月3日 AFP】「宇宙創造の理論において、もはや神の居場所はない」――。英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士が近著の中でこう記していることが、9日公表された抜粋で明らかになった。物理学における一連の進展により、そう確信するに至ったという。

 1988年に発売され、世界的なベストセラーとなった『ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)』において、「神という考え方は、宇宙の科学的理解とは必ずしも相いれないものではない」と比較的寛容だった宗教観は、新著『The Grand Design(グランド・デザイン)』では硬化した。ビッグバンは万有引力の法則の結果でしかないという論を、次のように展開した。

「引力などの法則が存在するため、宇宙は無から自らを創造することが可能。自発的に創造されたからこそ、無というよりは何かが存在する。だからこそ宇宙は存在し、われわれも存在する」

「青い導火紙に火をつけ、宇宙を創造してくれるよう、神に祈る必要はない」

「宇宙は混沌(こんとん)から生まれることはあり得ない」とするアイザック・ニュートン(Isaac Newton)の理論に立ち向かうきかっけとなったのは、1992年の太陽系外惑星の発見だったと記している。

「(この太陽系外惑星は)地球の条件に一致していた。太陽が1個であること、地球と太陽の距離、太陽の質量などの幸運な要素が似通っていた。このことは、地球がわれわれ人類を喜ばせるためだけに注意深く作られたという考え方を弱めるものだ」(c)AFP