【8月30日 AFP】リンゴの品種改良につながるゲノム(全遺伝情報)の解読に国際研究チームが成功し、研究結果を30日、米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」に発表した。

 5か国13機関が参加する研究チームは、ゴールデン・デリシャス種のリンゴを対象にゲノムを解読した。

 リンゴは花をつける植物の約3分の1が分類されるバラ科に属する。このバラ科にはやはり食用果実として知られる桃、ラズベリー、梨、イチゴなどが含まれ、それらは大きく違って見えるが、遺伝子レベルでは類似性が大きく、リンゴのDNAの大半を共有している。一方、染色体の数は大きく違い、リンゴと梨のDNAには17本の染色体があるが、他の染色体は7~9本しかない。

 このことから研究チームは、5000万~6500万年前ごろに、リンゴの仲間の祖先となる果実が存在したのではないかと考えている。

 この時期はちょうど、恐竜が絶滅した白亜紀末期と重なる。恐竜は、地球に小惑星が衝突して大規模な火災が起こり、舞い上がった灰やすすで太陽光がさえぎられて地球が冷却化したことが原因で、絶滅したと考えられている。

 この気候変動が起こった際に、リンゴの祖先種は種の保存をかけてほぼ全てのゲノムを複製し、桃やイチゴとは非常に異なる現在のリンゴに進化したのではないかと、研究に参加したニュージーランド作物食品研究所(New Zealand Plant and Food Research)のスー・ガーディナー(Sue Gardiner)氏は説明した。

 世界の農作物研究者たちは現在、生産率や耐性、味覚の向上などを目指して、主用農作物の遺伝情報の解読を進めている。(c)AFP