【8月27日 AFP】米国立大気研究センター(National Center for Atmospheric ResearchNCAR)は26日、太陽からの紫外線が減少したため、地球の大気圏の層の1つである「熱圏(thermosphere)」が大きく縮小し、温度も下がっているとの論文を発表した。

 熱圏は高度約90~500キロメートルに位置し、大気圏の上層を構成する。

 米地球物理学連合(American Geophysical Union)が発行する学会誌「地球物理学研究レター(Geophysical Research Letters)」に掲載された論文によると、2007年~09年にかけて太陽黒点や太陽風がほとんどない状態が長期間続き、太陽から受けるエネルギーは異常に低い水準にとどまった。

 この影響で熱圏が縮小し、その気温は08年に1996年比約30%減となる41℃も低下したという。43年間にわたる宇宙探査史上、これほど急速に気温が下がった前例はないという。

 熱圏の厚さと密度が薄くなると、軌道上を回る物体が受ける摩擦が少なくなる。国際宇宙ステーション(International Space StationISS)や人工衛星にとっては、運用期間が延びるため朗報となるが、一方で宇宙デブリもこれまでより長く軌道上にとどまることになり、ISSや人工衛星との衝突の危険が高まると、論文の共著者であるコロラド大学(University of Colorado)のトーマス・ウッズ(Thomas Woods)シニア研究員は指摘する。

 ウッズ氏は19世紀と20世紀の初頭にも太陽活動の極小期があったと指摘し、「過去のパターンが当てはまるならば、太陽活動の極小期は今後10~30年は続くだろう」と話している。(c)AFP