【8月16日 AFP】ハリケーンの発生数や強度に、海の色の変化が大きく関係しているようだ――。米海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric AdministrationNOAA)のチームが13日、このような研究結果を発表した。

 研究チームは、世界のハリケーンの半数以上が発生する北太平洋の海面の色の変化をコンピューターでシミュレーションした。鍵となるのは、クロロフィル(葉緑素)だ。クロロフィルは植物プランクトンの光合成を促進し、海洋生態系の食物連鎖を根幹で支えている。このクロロフィルが集中するところでは、海の色は緑色がかっている。

 研究を率いたAnand Gnanadesikan氏は声明で、「われわれは海の色といえば青いと思っているが、実はどちらかといえば、緑色がかっている。この『海は本当は青くはない』ということが、熱帯低気圧の発生と(直接的な)関係がある」と説明している。

 クロロフィルが減ると、日光はより深い海中にまで達し、海面の水温はなかなか上昇しない。すると、冷たい海水が大気循環のパターンを変化させ、強風が上空に巻き上がる。この現象が、「雷雨がハリケーンに成長する際に必要な構造の発達を妨ぐ傾向がある」という。

 植物プランクトンの数は20世紀以降、世界中で減少している。

 この研究は近く米地球物理学会誌「Geophysical Research Letters」に発表される。(c)AFP