【7月16日 AFP】広告を見ている人の性別や年齢を、看板に設置されたカメラで識別する電子看板(デジタルサイネージ)の実証実験が、首都圏で行われている。

 まるでスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の映画『マイノリティ・リポート(Minority Report)』に登場した、個人を識別する広告を連想させるようなこの技術は、実験段階中の「デジタルサイネージ推進プロジェクト(Digital Signage Promotion Project)」の一環として実施されている。

 デジタルサイネージ推進プロジェクトは首都圏鉄道11社で構成。先月、1年間の実証実験を開始した。

 同プロジェクト広報によると、広告を見ている人の性別や年代を識別するために必要な時間は1秒間。電子看板の前を通過した人が1秒でも広告を眺めれば識別できるという。

 同団体は声明で、さまざまな場所で取得したデータを分析することで「駅を利用する客にとって、その時々に価値のある広告」を企業が配信することができるようになると述べている。

 『マイノリティ・リポート』に登場した広告の場合は、米俳優トム・クルーズ(Tom Cruise)さんが演じる登場人物の氏名まで認識し、おすすめ商品を紹介していた。しかし、首都圏で行われるこのプロジェクトでは個人の識別はせず、統計データのみを照合するという。

 性別や年代の識別には顔認識ソフトウエア技術が使用されているが、属性データのみを記録するだけで、その人の画像が録画保存されることはないとしている。(c)AFP