【2月12日 AFP】一部の国では園芸家たちから外来種として嫌われているなんのとりえもない雑草が、穀草類やバイオ燃料の増産の隠されたカギを握っているかもしれないと、科学者らが期待をかけている。

 10日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された論文で、大西洋の両側の生物学者たちが、この雑草のゲノムを解読したと発表した。

 セイヨウヤマカモジ(学名:Brachypodium distachyon)という地中海や中東を原産地とする小さな野草で、農産物としては役に立たず、商業的価値はまったくないが、意外にも植物バイオテクノロジーに大きな貢献を果たしそうだ。

 この野草の遺伝情報は極めて操作しやすい。そのため、もっと利用価値は高いが遺伝子構造がより複雑な植物を理解するための代用植物として、実証実験に適している。研究者の1人、米オレゴン州立大学(Oregon State University)のトッド・モックラー(Todd Mockler)助教授(植物学)は「この草は成長しやすく、ライフサイクルが短いため研究しやすい。セイヨウヤマカモジから学べることは、農学的価値が高いほかの植物の研究でも、重要性をもってくるだろう」

 今回の新たな研究でセイヨウヤマカモジの遺伝子数は2万5532個で、亜科にあたるコメの2万8236個や、モロコシの2万7640個よりも少ないことが明らかになった。セイヨウヤマカモジとコメ、モロコシの遺伝子は77~84%が共通している。比較的差異が少ない亜科にそれぞれ属するこの3種の植物は、約5600~7200万年前に共通の祖先から枝分かれしたと考えられている。(c)AFP