【1月26日 AFP】「われわれよりも高度な文明に出会ったときの人類のショックは大きいだろうが、確率の法則からすると宇宙人は存在する」――英国王立協会(Britain's Royal Society)は25日、ロンドン(London)で宇宙人の存在に関する科学者会議を開催し、白熱した議論が行われた。

 会議は、同協会が創立350周年を記念して企画したさまざまなトピックスに関する科学者会議の1つで、2日間の日程で行われるもの。目的は、地球外生命体の存在の有無について結論を出すことではなく、その探索における現在位置を確認し、発見が人間社会に及ぼす影響について推測することにある。

 米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)の宇宙化学者、パスカル・エーレンフレント(Pascale Ehrenfreund)氏は、「地球上の生命は、星間空間に漂う炭素分子とちりにより誕生した可能性がある。そうだとすれば、生命の基本的な構成要素は、天の川銀河やその他の銀河の惑星系にまで拡散されているはずだ」と発言した。

 協会のマーティン・リーズ(Martin Rees)会長は、現代科学の無知を認めることが不可欠だと強調した。「地球上の生命がどのようにして始まったのかも解き明かされていないなかで、生命体が地球外にもあるのか、どこにあるのかを断言することなど到底できない」

 その一方で、強力な軌道望遠鏡などの新たな天文学ツールが、太陽系外惑星を発見しつつある。1995年以降に発見された系外惑星は400個を越えており、その数は急速に増えつつある。

 しかしこれまでのところ、地球に似た惑星は発見されていない。

■宇宙人は「親切」ではないかもしれない?

 一部の科学者は、ハリウッド(Hollywood)映画における、「人の姿に似ており」「怒りや愛といった人間的な感情を持っている」といった宇宙人描写に異議を唱えた。

 カリフォルニア大学デービス校(University of California at Davis)の社会心理学者、アルバート・ハリソン(Albert Harrison)氏は、「地球外生命が存在する場合、最初に発見されるのは顕微鏡でしか見えないような微小な生命体だろう」と話した。

 表面の氷の下に海をたたえていると考えられている、火星、木星の衛星エウロパ(Europa)、土星の衛星エンケラドス(Enceladus)の下層土で、生命体の一種であるバクテリアが発見される可能性を指摘する科学者もいる。

 一方で、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のサイモン・コンウェイ・モリス(Simon Conway Morris)教授は、地球外生命体は存在しないとの考えを述べた。「生命の誕生は偶発的な出来事だったというのがわたしの意見。生命は地球上にだけあるもので、地球外には何も存在しない」

 モリス教授はまた、高度な知能を持った宇宙人が人類に接触したがっていると仮定して、「彼らがスピルバーグ映画に出てくるように、かわいらしく、親切で、賢明であると思い込むべきではない」と警告した。

「彼らはアステカ族のように攻撃的で、非常に不愉快な存在かもしれない。(宇宙人はいないという)わたしの考えが間違っていて、(宇宙人が)電話をかけてきた場合、何があっても受話器をとってはいけない。『ハロー』と言わない方が良かったとあとで後悔するかもしれない」(c)AFP/Richard Ingham