【12月25日 AFP】昆虫は足を踏み出すときに、ただ足を伸ばすだけでなく足もとを「見ている」可能性があるとする研究結果が、24日の米科学誌「カレント・バイオロジー(Current Biology)」に発表された。

 コオロギ、ゴキブリ、アリなどの主に「歩く」昆虫の大半は、目が比較的小さく、長い触角を頼りにしている。一方、主に「飛ぶ」昆虫の多くは目が大きく、従来は主にこうした昆虫の「飛行中の目の使い方」が研究されてきた。

 英ケンブリッジ大(University of Cambridge)のジェレミー・ニヴァン(Jeremy Niven)氏らは、バッタに着目した。バッタは短い触角と大きな目を持ち、「歩く」時間と「飛ぶ」時間が同等だ。歩く時にも目を使うのかを調べるため、実験を行った。

 超小型のはしご状の足場を作り、バッタがこの上を歩く様子をビデオで撮影した。スローモーション映像で、足を踏み外した回数を数え、これをほかの状況における踏み外しの回数と比較した。

 こうした実験の結果、バッタが足を踏み出すときに目を使っていることがわかったという。例えば、片方の前足が見えない時、その足で踏み出すことはやめて、見える方の足を前に出していたという。

 視覚による四肢の制御は、これまで、昆虫の微小な脳にとっては複雑すぎると考えられてきた。

 バッタは過去40年間、手足の制御の研究におけるモデル生物となってきた。今回の発見により、人とロボットの動きへの理解が一層深まることが期待される。(c)AFP