【11月24日 AFP】新たに作成された火星の詳細な地図によると、北半球には広大な海のような地形が、赤道付近には峡谷があり、これは火星がかつて雨の多い湿潤な気候であったことを示している――。米ノーザン・イリノイ大学(Northern Illinois University)などの研究チームが、23日の科学誌「Journal of Geophysical Research」にこのような研究結果を発表した。

 研究チームは、米航空宇宙局(NASA)の人工衛星から得られた地形データを基に、火星の詳細な地図をコンピューターで作成した。地図では、火星の峡谷群の総延長が、これまでの予想より少なくとも2倍以上長いことも示されているという。

 同大のWei Luo教授(地理学)は、「峡谷が広範囲にわたって比較的高い密度で存在することは、これらの谷が、降雨により土が流出する侵食で形成されたことを物語っている」と述べている。地球上にも、このようにして形成された峡谷は数多く見られるという。

 また、北半球の海は、峡谷群になぜ南限があるのかを説明しているという。「水が貯蔵されている地域から最も遠い火星の南端には、雨はほとんど降らず、谷が生成されなかったのだろう。北から南へ行くにつれて谷が徐々に浅くなっていくのも、そのせいである可能性がある」(Luo教授)

 また、降雨は、海上とその近辺の陸地にほぼ限られていたと見られ、地図上にベルトのように細くくねった谷の構造と強い関連があると考えられている。

 NASAの火星探査機マリナー9号(Mariner 9)が1971年、火星表面に古代の峡谷群を発見して以来、これらの谷が侵食による(つまり火星はかつて湿潤で雨が降っていた)ものなのか、寒冷・乾燥時に起こりやすい地下水による掘り崩しによるものなのか、激しい議論が続いている。(c)AFP