【11月7日 AFP】これまで万国共通だと考えられていた赤ちゃんが最初に上げる産声は、母親の胎内にいるときに聞いた言語によって違いがある――。このような研究が米科学誌「カレント・バイオロジー(Current Biology)」の最新号に掲載される。

 過去の研究で妊娠7か月以降の胎児は外部の音を記憶し、特に音楽や言葉の音調を認識することが分かっていた。また、新生児は母親の声を好み、母親が話すときのイントネーションで怒りや喜びの感情を見分けられることも知られている。ただ胎児が言語の差異を聞き分けられるとしても、その違いを音声で表現できるとは考えられていなかった。

 今回研究を行ったフランス人とドイツ人からなる研究チームは、生後3~5日の健康な新生児60人の泣き声を録音して比較・分析した。60人のうち半数がフランス語を話す家庭に生まれた新生児、残りの半数はドイツ語を話す家庭に生まれた新生児だった。

 その結果、泣き声の音調は、その母国語によってはっきり異なることが分かった。泣き声の音調は、フランス語家庭に生まれた新生児では上昇するが、ドイツ語家庭に生まれた新生児では下降する。この傾向は、それぞれの言語の特徴と一致しているという。

   「従来の考え方とは逆に、人間の新生児が泣くのは言語発達の基礎を作る上で重要であることをこの研究データは裏付けている」と、研究チームを率いた独ヴュルツブルク大学(University of Wurzburg)のKathleen Wermke博士は述べている。(c)AFP