【10月1日 AFP】大地震が起きると、地球の裏側にある断層が弱まる――カリフォルニア(California)州のサンアンドレアス(San Andreas)断層を調査していた米研究チームが30日、このような論文を英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。

 カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)の平貴昭(Taka'aki Taira)氏が率いるチームは、インドネシア・スマトラ(Sumatra)島沖で2004年12月に発生したマグニチュード(M)9.1の地震が、8000キロ離れたサンアンドレアス断層系のパークフィールド(Parkfield)付近の断層セグメントを弱めていたこと発見した。

 パークフィールド付近には地震計などの計器類が大量に設置され、「世界の地震の首都」の異名で知られるが、研究チームは同地で得られた過去22年間の地震データを分析。同地付近の断層内に、流体で満たされた破砕帯が複数あることを発見した。

 この流体は、地震の圧力で断層内を移動し、震動を伝えて岩に亀裂を生じさせる潤滑剤のような役割を果たしているとみられ、そのため流体の移動時には微小地震(バックグラウンド)地震の規模が小さくなる――すなわち、断層が弱まるにつれ、より少ないエネルギーで地震が起きるようになるという。

 だが、最も注目される発見は、1992年のカリフォルニア州ランダース(Landers)地震(M7.3)と2004年のスマトラ島沖地震という、離れた地点で発生した2つの大地震がサンアンドレアス断層にもたらした影響についてだった。

 スマトラ島沖地震の5日後、パークフィールドの地震計は、断層の地下5キロに動的応力を観測した。

 研究チームは、大地震は別の場所に波及し、時に数か月後に表出するというカスケード効果説を強力に後押しする発見だと主張。「2004年のスマトラ島沖地震が遠く離れたサンアンドレアス断層に影響を及ぼしていた事実は、世界中の活断層が同様に影響しあい、弱体化していく可能性を示している。スマトラ島沖地震から3年以内にM8以上の大地震が比較的多く発生している点も、これを裏付けている」としている。

 研究チームは、地震波の変化と微小地震の発生数を定量化すれば、次にずれる断層を特定する方法が開発できるとして、研究結果が断層の強度を測定し地震を予知する技術の開発につながることを期待している。(c)AFP