【8月31日 AFP】旧ソビエト連邦が1949年に初めて核実験に成功してから60周年の29日、実験に関わった科学者が核実験によるキノコ雲を「素晴らしい現象」とたたえるコメントを発表した。ロシア通信(RIA)が報じた。

 米国が初の原子爆弾実験「トリニティ(Trinity)」を成功させてから4年後の1949年8月29日、ソ連も現在のカザフスタン北部にあるセミパラチンスク(Semipalatinsk)核実験場で、初の原子爆弾の爆発実験「RDS-1」を実施した。

 この実験に参加したArkadi Brich氏は、実験の成功を「核について全く無知だった人びとにも、この新技術は広く知られることとなり、戦争で疲弊した国が核爆弾の製造に成功した。これは奇跡だ」と絶賛した。また、8月29日を核実験成功記念日と定めるべきだと主張した。

 また、実験での原子爆弾爆発で立ち上ったキノコ雲を「非常に素晴らしい現象だった」と述べ、爆発の衝撃波の影響で空の雲が吹き飛ばされ、実験後の空は晴れ渡っていたと感慨深げに語った。

 その一方、Brich氏は、核実験は「核爆発の実用分野への応用の可能性を広げ、基礎科学技術の進歩に寄与するものだ」と主張。科学技術進歩を妨げるとして、包括的核実験禁止条約(Comprehensive Test Ban Treaty)に反対を唱えた。

 包括的核実験禁止条約は1996年、国連に加盟する177か国によって採択された。発効には国内に核技術研究所や原子力発電所を持つ44か国の批准が必要だが、現在までの批准国は34か国で、正式な発効には至っていない。(c)AFP