【5月22日 AFP】ヒッチコック(Alfred Hitchcock)が数十年前にわかっていたことを、研究者たちはとうとう証明した――。鳥は、人込みの中でも自分の敵の顔を見分けられるのだ。

 1963年のホラー映画『鳥(The Birds)』は憎しみに満ちたカモメたちの物語だが、フロリダ大学(University of Florida)の生物学者らは、敵とみなした人の顔を見つけたり覚えたりする能力においては、控えめなモッキンバード(マネシツグミ)の頭脳は全くもって「トリ頭」ではないということを発見した。

 モッキンバードの巣を脅かす人物が現れたとき、モッキンバードはその顔を覚え、ほかの通行人には目もくれず急降下して攻撃するという。

■実験の詳細

 実験はフロリダ大学で、4日間かけて行われた。キャンパス内にあるモッキンバードの巣24個を、複数の学生に毎日違う方向から近寄って触らせた。

 3日目になると、モッキンバードたちは初日とは違う反応を見せた。学生たちが違う服を着ているにもかかわらず、姿が見えた途端に騒がしくなったのだ。さらに、日がたつにつれ警戒の鳴き声も大きくなり、侵入者に攻撃をしかけるようになっても、あたりを通ったほかの学生にはかすりもしなかったという。

 フロリダ大学のダグ・レビー(Doug Levey)教授は、「われわれにとってモッキンバードたちはどれも同じだが、あちらにとってはそうではなかったようだ」と語る。

 自然環境に置かれている野生動物が、別の種の動物の個体を判別できるかについての研究としては初めてのものだという。研究結果は、次週の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載される。(c)AFP