【3月11日 AFP】動物園で飼育されているチンパンジーが来園者に向かって投げる石をあらかじめ集めて貯蔵していることが観察されたことから、霊長類も人類と同様に将来に備えている可能性があるとする研究結果が、9日の科学誌『カレント・バイオロジー(Current Biology)』で発表された。

 スウェーデン・ルンド大学(Lund University)のMathias Osvath氏は10年にわたり、同国の動物園で飼育されている雄のチンバンジー「サンティノ(Santino)」を観察。サンティノは毎日、来園者が来る前に落ち着いた様子で石を集め、その後堀の向こう側の来園者たちに向かって石を投げていた。

 研究結果によると、飼育係がサンティノのおりに数百個の石が隠してあるのを発見したことから、チンパンジーの生態をより理解するためにおりを観察することにしたという。

 サンティノは、手持ちの「武器」に不満足な様子の時には硬い岩を打ち付けて円盤状に形を整えたこともあったという。

 今回観察されたサンティノの行動は、霊長類が非常に複雑な方法で将来について考えていることを示しているとOsvath氏は言う。また、非常に意識が発達しており、起こりうる出来事について現実のようにイメージして、人間が人生での過去の出来事を見直すのと同様の「精神世界」を持っている可能性もあると指摘した。(c)AFP