【1月27日 AFP】見事な銀行強盗で金塊を強奪した後、逃亡中のバスがアルプス山中でスピンし車体半分が絶壁から突き出て落下寸前――。映画史上最も記憶に残る、犯罪アクション映画『ミニミニ大作戦(The Italian Job)』(1969)の予想の付かないラストシーンで、マイケル・ケイン(Michael Caine)演じる天才的大泥棒のチャーリー・クローカー(Charlie Croker)と一味がどのように金塊を救出できたのか?

 ローマ(Rome)で銀行強盗を行った後、クローカーらが乗ったバスはスイスに向かっていたが、アルプスの山道でスピンし車体半分ががけからせり出した状態で停止。ラストシーンは、クローカーの有名なせりふ「そうだ、俺にいい考えが・・・」で終わる。

 英国王立化学会(Royal Society of ChemistryRSC)はこのたび、クローカーらがどのようにしてがけから転落せず、バス後方の手が届きそうで届かないところにある金塊を手に入れることができたのか、その救出作戦のコンテストを実施した。強盗団は30分以上時間を費やすことはできなかった、ということだけが条件だ。

 約2000件の応募の中から優勝したのはロンドン(London)南西ゴダルミン(Godalming)出身のITマネジャー、ジョン・ゴドウィン(John Godwin)さん(39)で、ゴドウィンさんが考えた救出方法は次の通りだ。

 強盗団はまず、窓ガラスを割らなければならない。後方のガラスは外側に、前方のは内側に向けて割り、彼らがいる前方にわずかにバランスが傾くようにする。金塊はがけから突き出ているバス後方にあり、全員の体重でバスの転落をかろうじて防いでいる状態だ。

 次に、1人が割れた窓ガラスから脱出してフロントタイヤの空気を抜き、タイヤの反発力を減らしバスをより安定させる。バスが都合良く安定したら、クローカーは点検用パネルからバス後方に近い燃料タンクに手を伸ばして排油プラグを抜き、約140キロのガソリンを捨てる。

 それでバランスがさらに安定すれば、もう1人がバスから脱出し、石を集めてきて車体に載せ、バス前方に重心が傾くようにする。そうすれば、クローカーは這(は)っていって金塊を1本ずつ救出することが可能となる。

 もちろん、最後に残された問題は次にどうするかだ。バスの燃料はからっぽで、タイヤ2本の空気は抜け、そもそもがけにぶら下がった状態のままだ。アルプス山中からはどこへ行くにも長い道のりが待っている。(c)AFP