【1月18日 AFP】太陽系外惑星の大気を地球上から観測することに史上初めて成功したとする研究報告が、14日発行の欧州天文専門誌「アストロノミー&アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)」で2件同時に発表され、観測の難しい系外惑星の研究に新たな道を開いた。

 これまでに確認されている系外惑星はわずか300個ほどで、今後も多数が発見されると推測されている。系外惑星には、地球に生命を生じさせたのと同様の環境を持っている可能性のものもある。

 系外惑星についての情報はこれまでほぼすべて、宇宙にある米航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)が収集したものだが、スピッツァーの冷却に必要な寒剤が間もなく尽きるため、その機能は大幅に制限されてしまう。

 報告の1つは、米ワシントンD.C.(Washington, DC)のカーネギー研究所(Carnegie Institution)のチームによるもので、いわゆるホット・ジュピター(公転周期が短い大型の系外惑星)の「OGLE-TR-56b」を観測した。

「OGLE-TR-56b」については昨夏に2度、いずれもチリに設置されている欧州南天文台(European Southern ObservatoryESO)の大型望遠鏡「VLTVery Large Telescope)」と、カーネギー研究所が共同で運用しているラスカンパナス天文台(Las Campanas Observatory)のマゼラン望遠鏡で観測された。

 ホット・ジュピターは地球の数倍もの大きさで、恒星の非常に近くを公転する。そのため高温になっており、地球からでも観測できる可視光および近赤外線の放射線を発していると考えられている。

 観測対象の系外惑星が大量の熱を放射しており、大気中にほとんどあるいはまったく風がないことが成功の条件だったという。さらに、系外惑星が恒星の後ろに隠れ食を起こした際の恒星と系外惑星の熱放射の違いを正確に観測するには、地球上は静かな澄んだ夜空でなくてはならない。

 論文の主執筆者、パリ天体物理研究所(Paris Astrophysics Institute)のDavid Sing氏は、「OGLE-TR-56b」は台所のガスコンロのように猛烈に熱く燃えているが、系外惑星の熱放射を明確にするには、食が起きるタイミングとフラックスを正確に把握して、それを取り除く必要があったと説明する。

 一方、オランダの天文学チームは、別の太陽系外惑星「TrES-3b」の熱放射を観測した。(c)AFP