【12月23日 AFP】地球上の生物は、微小な単細胞生物から地球上最大のシロナガスクジラやセコイアオスギまで35億年かけて進化してきたが、地球の地質学的進化と関連した2つの出来事を通じて急激に大きく進化したとする研究結果が22日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 この研究は、生物は単細胞生物から多細胞生物にゆるやかに進化したとするこれまでに一般的な仮説とは異なる仮説を提示している。

 研究の共著者で米バージニア工科大学(Virginia Tech)のマイケル・コワレフスキ(Michal Kowalewski)教授(地球科学)は、「驚くべきことに生物が急激に大きくなったのは、ほとんどが2つの時代に集中していた。いずれも、酸素に関係のある大きな出来事が起きた後だった」と説明した。

 化石の記録を分析した結果、細菌から真核細胞に進化したときと、単細胞生物から多細胞生物に進化したときの2回、生物が急激に大きくなった時代があったことが分かった。

 地球上の生物の歴史の中で、最初の15億年については細菌のような生物の化石しか発見されていない。その後、真核細胞出現後の約20億年前により複雑な生物が現れるまで、生物の大きさはあまり変わらなかった。

 約30億年以上前、原始の細菌は光合成を「発明」し、太陽エネルギーと二酸化炭素を取り込んで自ら栄養を作り出せるようになった。これらの細菌は低酸素の環境で繁殖した。

 しかし、細菌が大気中に放出した酸素によってより複雑な細胞構造の発達が可能となり、真核細胞が誕生した。約2億年かけて生物は肉眼では見えないほどの微小な細胞から、親指大の生物へと成長した。

 コワレフスキ教授は、「ある意味で生物が大きく複雑になったのは、生物と地球の相互関係の結果だと言える。生物自体が、生物の複雑化を可能にしたのだ」と述べた。

 酸素濃度がさらに上昇し現在とほぼ同じ10%程度にまで到達した約5億4000万年前には、組織を持つ多細胞の生物が現れた。

 もう1人の共著者、同大学研究員のジェニファー・ステンピアン(Jennifer Stempien)氏は、「非常に興味深いのは、この酸素供給に関する2つの段階はそれぞれ、進化の歴史において生物が複雑化した時期、つまり1度目は真核細胞が出現した時、2度目は多細胞生物が出現した時と関係していることだ」と語った。

 35億年で地球の生物の大きさは、最大で16倍にもなっている。今日、シロナガスクジラのような海洋動物や維管束植物のセコイアオスギは、最大の恐竜より大きく成長することが可能だという。(c)AFP