【12月22日 AFP】米国の天文学チームは16日、多くの謎に包まれている「ダークエネルギー」は、宇宙膨張に向けて作用するのと同時に、宇宙に存在する物質を縮小させているとする研究結果を発表した。

 マサチューセッツ(Massachusetts)州スミソニアン天体物理観測所(Smithsonian Astrophysical Observatory)の研究チームは、重力が銀河団の膨張とどのように競合するかを調べることによって、「ダークエネルギーの極めて重大な実証論」を発見したという。チームは、米航空宇宙局(NASA)のチャンドラX線観測衛星(Chandra X-ray Observatory)を使用して観測を行った。

 研究を率いた同観測所のアレクセイ・ビクリニン(Alexey Vikhlinin)氏は、「この研究結果は、『宇宙の発達遅滞』を示している可能性がある」とし、「宇宙を加速度的に膨張させている力が何であれ、その力が同時に宇宙の発達を遅らせてもいる」と説明した。

 数年にわたる研究の結果、現在では、宇宙の約70%を占めているダークエネルギーは宇宙を支配する反発力であると考えられるようになったが、実際にそれがどういうものなのかは依然として不明だ。

 ビクリニン氏は、「この考え方に沿えば、宇宙の加速度的な膨張は永遠に続くが、宇宙のすべての物理的構造がバラバラに素粒子にまで分解されてしまうビッグリップ(Big Rip)は恐らく起こらない」との見方を示した。

「つまり、隣接する銀河は、最終的にはわれわれには見えなくなるが、銀河団によってすでに構成されている構造や銀河系が分解されることは、当面はない」(ビクリニン氏)

 今回の研究結果は、大質量星が爆発して死んだ超新星に関するこれまでの研究結果と理論が異なる。ビクリニン氏は、「ダークエネルギーは空間エネルギーと同様に宇宙定数であることを、これまででもっとも強力に証明している。別の言葉に言い換えると、『真空』ということだ」と説明した。

 研究結果は、米天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)」の2月10日号で発表される。(c)AFP