【11月23日 AFP】ポルトガルで、ブルドーザーの運転手が発見した恐竜の化石をインターネット・オークションに出品したことで、その賛否をめぐり議論が巻き起こっている。

 ゴンサロ・リベイロ(Gonsalo Ribeiro)さんが同国西部のある場所で恐竜の化石を発見したのは10年前のこと。ブルドーザーなどを使った掘削事業を営むリベイロさんは、「ある日、変わった石を掘り当てたが、よく見るとそれは普通の石ではなく、長さ3.6メートルの龍脚類恐竜の尾の部分だった」と話す。

 ポルトガル中西部の博物館でジュラ紀の恐竜を研究している古生物学者のオクタビオ・マテウス(Octavio Mateus)氏によると、この化石は1億5200年前から1億4600年前までのもので、科学的に大きな価値があるという。

 しかしリベイロさんは、この化石を引き取りたいとする博物館の申し出に、提示された金額が著しく低いとして、これまで首をたてに振ってこなかった。示された最高額は10万ユーロ(約1200万円)だったという。

 発掘場所を明らかにしてこなかったリベイロさんだが、今回この「お宝」を売っていくらかのお金を手に入れることを決めた。オークションの骨董品部門に掲げた広告には、「90%が原型を保つ恐竜の背骨を売ります」と書かれている。

 化石がオークションに出品されたことに業を煮やしたマテウス氏は、このウェブサイトに「われわれの歴史的遺産が乗用車や靴のように売買されようとしている」と書き込み、非難キャンペーンを展開した。

 マテウス氏はポルトガル政府に対し、アルゼンチン、中国、モンゴルなどですでに制定されているような、「公共の遺産」の販売を禁止する法を制定するよう求めている。(c)AFP