【10月23日 AFP】米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)の創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が設立した慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)は22日、日本を含む世界22か国の研究者らなどによる104件の研究に各10万ドル(約970万円)の研究資金を寄付すると発表した。

 これは、「世界の健康問題における革新的なアイデアを奨励する」ため5年間で総額1億ドル(約97億円)の研究資金を提供する、同財団のイニシアチブ「グランド・チャレンジズ・エクスプロレーションズ(Grand Challenges Explorations)」の第1回目にあたる。

 ゲイツ財団はグランド・チャレンジズ・エクスプロレーションズについて、「既存の科学的枠組みに納まらないが、成功すれば飛躍的な発展に結びつく可能性のある」プロジェクトを対象に、「世界の健康状況の改善につながる大胆かつこれまで証明されていない方法の研究」に資金を提供するものだと説明している。

 今回の寄付対象は約4000件の応募研究から選ばれた104件の研究で、研究母体は大学や非営利団体(NPO)、政府機関のほか、民間企業6社も含まれている。

 寄付対象に選ばれた自治医科大学(Jichi Medical University)の松岡裕之(Hiroyuki Matsuoka)教授の研究は、「蚊を、ワクチンを運ぶ『空飛ぶ注射針』に変える」というもの。ゲイツ財団によると、松岡教授は、通常は疾病を媒介する蚊を「空飛ぶ注射針」に変え、その蚊が人間を刺すことでワクチンを運ぶことができると考えているという。

 また、タイのマヒドン大学(Mahidol University)のパタマポルン・キッタヤポン(Pattamaporn Kittayapong)氏が取り組んでいる、デング熱の抑制能力を持つバクテリアを研究することでデング熱をコントロールするという新しいアプローチも選ばれた。

 このほかにも、エイズ(HIV/AIDS)や結核などの感染症の予防法の研究やウイルスの薬物耐性を抑制する研究などにも資金が提供された。(c)AFP