【9月24日 AFP】米国の天文学者チームは22日、地球から約300光年離れた場所で2つの惑星が衝突した証拠が確認されたと発表した。衝突の証拠が観測されたのは、これが初めて。

 観測したのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とカリフォルニア工科大学(CALTECH)の天文学チーム。おひつじ座にある星の年代を測定していたとき、通常では考えられない大量のちりがこの星の軌道を回っているのを発見した。これにより2つの惑星が衝突したことが判明したという。

 UCLAのベンジャミン・ザッカーマン(Benjamin Zuckerman)教授(物理学、天文学)は「これは地球と金星が衝突したようなもの。完全に成熟した惑星系の内部でも衝突が起こりうるということだ」と話している。この衝突で、両惑星のすべての生命体が数分以内に絶滅したことが考えられるという。

 詳細は、米天文学専門誌「アストロノミカル・ジャーナル(Astronomical Journal)」12月号に掲載される。

■地球がほかの惑星と衝突する可能性は?

 地球がほかの惑星やいん石と衝突するという終末論的なテーマは、フィリップ・ワイリー(Philip Wylie)とエドウィン・バーマー(Edwin Balmer)が1933年に執筆した小説『地球最後の日(When Worlds Collide)』以来、サイエンスフィクションや映画の世界によく登場する。

 天文学者らは、そのような可能性はかなり低いとみている。テネシー州立大学(Tennessee State University)のグレゴリー・ヘンリー(Gregory Henry)氏は、「惑星の動きを予測するコンピューターモデルでは、今後10億年以内に地球がほかの惑星と衝突する可能性は極めて低い」と説明している。

 だがその一方で、この太陽系で過去に衝突が発生したことは事実だと、ヘンリー氏は主張している。原始の地球に火星サイズの天体が衝突した結果、飛び散った巨大な破片の一部が徐々に集積して月が誕生したという説が、天文学者の間では定説になっているという。(c)AFP