【9月20日 AFP】オーストラリアのサンゴ礁で数百種類の新種の海洋生物が発見されたと、生物学者の国際研究チームが18日発表した。

 世界の海洋生物を調査し解明する国際的ネットワーク「海洋生物のセンサス(Census of Marine LifeCoML)」が、サンゴ礁センサス(Census of Coral ReefsCReefs)プログラムで、オーストラリアのリザード(Lezard)島、ヘロン(Heron)島、ニンガルー・リーフ(Ningaloo Reef)の3か所でサンゴ礁を調査。ポリプの触手数が8つであることから八放サンゴと呼ばれる軟質サンゴ(ソフトコーラル)について、初の科学的で体系的な目録も作成された。

 調査の結果、科学者らは、約300種のソフトコーラル(うち半数は新種とみられる)、甲殻類数十種、体長の約3倍の長さのムチのような後ろ足を持つ、珍しいMaxillipiidae科端脚類の1種や、体長より長いはさみを持つものもいる、エビのようなタナイス目甲殻類の新種を発見した。さらに、「カシオペア」と呼ばれる美しい、珍しいクラゲも見つかった。

「海洋世界の昆虫」と呼ばれる、極小の端脚目甲殻類のうち40-60%が、今回初めて正式に目録に記載されるという。

 オーストラリア海洋科学研究所(Australian Institute of Marine ScienceAIMS)の主任研究員でCReefsの共同リーダー、ジュリアン・カレー(Julian Caley)氏は、「このような多様な海洋生物が、これまで『貴重なソフトコーラル、等脚類、端脚目の甲殻類や虫』として記載されず、またダイバーが海中で簡単かつ定期的に見ることのできる場所にいたということに皆驚いている」と述べた。

 今回の調査を率いたAIMSの最高経営責任者(CEO)、イアン・ポイナー(Ian Poiner)博士は、「サンゴは、海の酸性化、汚染、温暖化から乱獲、ヒトデの大繁殖といった、さまざまな脅威にさらされており、生物学的多様性の基準を確立し、その後のセンサスを順守することによってのみ、人々はそのような脅威の影響力や、それらを緩和するヒントを得られることができる」と主張した。

 この3か所の調査は、海洋生物を追跡調査し、また気候変動などの要因について監視するため今後3年間繰り返されるという。

 今回、陸上のヒルの親せきで「ウミケムシ(ブリッスルワーム)」として知られる新種の多毛類とみられるものも発見された。リザード島で発見された種の3分の2は、新種と見られている。(c)AFP