【8月7日 AFP】大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(T-REX)の好物だったとされる鳥脚類の恐竜ヒパクロサウルス(Hypacrosaurus)が、卵の中にいる段階から驚異的な速度で成長を遂げていたとする論文が、6日発表された。その成長速度は肉食恐竜の3-5倍だったとされる。

 ヒパクロサウルスは、8000万年-6700万年前の白亜紀後期に生息したカモノハシのような平らなくちばしがある草食恐竜の1種。成体の体長約9メートルはティラノサウルスと同じだったが、肉食恐竜の攻撃から身を守るための角や牙を持っていなかった。そのため種の保存本能が働き、肉食恐竜の餌食になることへの防御策として成長が著しく早くなったとみられる。

 樹木のように年輪が刻まれる脚の骨を調査してみると、幼体から成体になるまで、ティラノサウルスでは20-30年かかるところを、ヒパクロサウルスは10-12年しか要していないことがわかった。さらに、性的な成熟も非常に早く、2、3歳で早くも子どもを産み始めていたという。

 米オハイオ(Ohio)州立ケント大学(Kent State University)の博士課程、リサ・クーパー(Lisa Cooper)さんによると、ヒパクロサウルスの胎児や幼体の骨の断面には、血が活発に流れていたことを示す大きな空間があり、これも「クレイジーな速度で」成長していたことを示す証拠だという。「成長の早さには驚いたわ」とリサさんは話す。

 論文は、オンラインジャーナル「Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Sciences」に掲載されている。(c)AFP