【6月27日 AFP】ヒトゲノムは環境や栄養などの要因が影響し、年齢に応じて構造が変化するとの研究結果が、24日の米医学誌「Journal of the American Medical AssociationJAMA)」に掲載された。この変化が、高齢になるほどガンなどの疾患を発症しやすくなる原因の可能性もあるという。

 論文を発表した米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の研究チームは、DNA配列上の非遺伝的な要因による変化を記すマーク、いわゆるエピジェネティックマークが年齢とともに修飾され、その変化が家系で類似していることを発見した。

 同大学のAndrew Feinberg教授(分子生物学、遺伝学)は、「DNA配列は各細胞で同じだが、エピジェネティックな変化は食事や環境によって生じることから、現代医学の中心となる」と述べた。エピジェネティックスは、糖尿病、自閉症、ガンなどの疾患の治療で重要な役割を担う可能性もあるという。

 研究チームは、アイスランドで遺伝子と環境の相互作用などの研究を行っている「Age, Gene/Environment SusceptibilityAGES Reykjavik Study)」に参加している600人のDNA配列を分析した。

 被験者は、1991年にDNAサンプルを提供し、2002-05年の間に再度サンプルを提供。専門家らが提供されたサンプルのうち111のサンプルでメチル化レベルの変動幅を測定すると、111のサンプルのうち3分の1でメチル化の水準が年齢とともに変化していた。メチル化とは、重要なエピジェネティックな修飾のことをいう。

 アイスランド大学(University of Iceland)のVilmundur Gudnason教授(心血管遺伝学)は、「メチル化レベルが適切でない場合、病気を引き起こす可能性がある。メチル化レベルが高すぎれば必要な遺伝子が発現しない可能性があり、低すぎれば適切でない時期や細胞で遺伝子が発現する可能性がある」と説明する。

 ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(Bloomberg School of Public Health)のDaniele Fallin准教授(疫学)は、「今回の研究では時間の経過による変化が観察された。つまり、エピジェネティックな変化は年齢に応じて生じるという原則を証明した」と述べた。

 このような変化は遺伝的であるため、家系内でかかりやすい病気があることに説明がつくという。(c)AFP