【4月23日 AFP】退屈な作業は脳をまひさせる。このような研究結果が、21日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 ノルウェー・ベルゲン大学(University of Bergen)のTom Eichele氏らの研究チームは、単調な作業をすると、作業の好き嫌いにかかわらず、脳が「休憩モード」に入ることを発見した。さらに、脳の該当領域を観察することにより、間違いを犯す直前にそれを予期することができたという。

「『少し休憩が必要で、あなたにはどうすることもできない』と告げる、恐らく脳が本来備えている何かがあるのだろう。何もしていないのに、時おり脳が受容力や実行力がない状態に陥る感覚は恐らくだれもが知っているのではないか」とEichele氏は指摘する。

 脳が休憩モードに入ると、血液はより活発に働いている脳の別の部分に流れ込む。これは間違いを犯す約30秒前に始まるため、集中することや慎重になることを促す、事前警告システムの開発が可能かもしれないという。

 実現化されれば、職場の安全性の大幅な改善や、空港のセキュリティーチェックなど重要な作業の成果向上が期待される。

「これらの簡単な判断を下すための、頭の上に設置する装置を作れるかもしれない。信号を計測し、正常な判断を下すことができない脳の状態をとらえたときに、フィードバックを与えるのだ」とEichele氏は語る。

 このような脳の血流パターンをMRI(磁気共鳴画像装置)でとらえることは可能だが、MRIは持ち運びができない。

 そこで携帯型の脳波検査装置を開発しており、10-15年以内には実用化の準備ができるかもしれないという。(c)AFP