【3月27日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は26日、土星の衛星エンケラドス(Enceladus)の表面の温度と有機物質の存在を確認したと発表した。これは土星の「月」であるエンケラドスに、生物が存在できる環境がある可能性を示している。

 土星周回探査機カッシーニ(Cassini)は12日、エンケラドスの南極域から間欠泉のように噴き出している「プルーム」(水柱)を調査するために接近通過した。その際、高密度の水蒸気と一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、プロパンなどの有機化合物の存在を検出した。

 カッシーニはエンケラドス南極域にあるホットスポット(プルームが噴き出している場所)の温度がセ氏マイナス93度であることを確認。この温度は、衛星の表面に液体が存在できる可能性を示唆しており、これは生命存在の鍵の1つとなる。

 カッシーニ・チームの科学者、米コロラド大学(University of Colorado)のLarry Esposito氏は「生命の起源に必要な3つの基本要素、エネルギー、有機化合物、水をエンケラドスに認めた」と述べた。

 同チームのHunter Waite氏はプルームの構成要素は大半の彗星(すいせい)の構成要素に似た「天然ガスを含む炭酸水」だと述べた。また、「有機物は明らかにそこに存在し、その量はわれわれの予想を大幅に上回っていた」とし、地球外生物が存在する可能性につながると述べた。(c)AFP/Paul Handley