【2月29日 AFP】史上最大規模となるインターネット・ベースの生物百科事典『Encyclopedia of Life』(EOL)の初版が27日公開された。現時点で計3万ページにおよぶもので、今後10年をかけて地球上の既知の動植物全180万種を掲載するという。

 EOLへのアクセスはその前日に可能となっていたが、公開後6時間で累計アクセス数が1100万を超え、アクセスが殺到したためサーバーが約2時間ダウンする事態となった。

 世界初の試みとなるこのプロジェクトのきっかけは、全地球的な問題に取り組む1984年設立のシンクタンク「TED」が前年カリフォルニア州モントレー(Monterey)で行った会議だった。その席上でハーバード大学名誉教授のエドワード・オズボーン・ウィルソン(Edward Osbourne Wilson)博士が、生物多様性の意識を高めるとともに保護に役立てられるようなオンライン生物百科事典を提唱したのだ。

 ウィルソン博士によると、プロジェクトは、未知の動植物の発見促進も狙いにしているという。

 EOLは、今年後半から、ウィキペディアの手法を参考に、画像や動画も含めた情報を一般ユーザーなどから広く募集する。そしてウィキペディア同様に、いつでも書き換えが可能という。

 EOLは、病気の感染の拡大の程度、各生物の気候変動への適応力といったことを判断する際の材料として使用されることも期待されている。

 プロジェクトに数百万ドルを援助する財団、John and Catherine MacArthur Foundationのジョナサン・ファントン(Jonathan Fanton)会長は、「顕微鏡が目には見えない微細構造を明らかにしてくれるように、EOLは地球上の生物について、われわれの目を開かせてくれるもの。『あればいいな』と思われてきたものが、ようやく実現される」と語った。

 プロジェクトには、同財団や大学、慈善団体、バイオ研究所などが出資している。また、アドビ(Adobe)、マイクロソフト(Microsoft)、そしてウィキメディア財団(Wikimedia Foundation)が技術提供を行っている。(c)AFP/Glenn Chapman

オンライン生物百科事典『Encyclopedia of Life(EOL)』の公式サイト(英語)