【12月12日 AFP】地球を1つの村のように認識する傾向がますます強まる一方で、加速度的な人類の進化により、「地球村」の住人の遺伝的多様性はいっそう深まっているようだ。10日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に、米国の研究チームが研究成果を発表した。

 研究を主導したのは、米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)のジョン・ホークス(John Hawks)准教授(人類学)。

 遺伝学者によれば、現生人類は過去4万年の間にアフリカ大陸から他の大陸へ移住して爆発的にその数を増やした結果、それ以前の600万年間よりも速いペースで進化を遂げた。

 現生人類の進化速度は、太古の人類の100倍とも言われる。とりわけ1万年前の氷河期以降の進化の速さはめざましく、それにより民族多様性が深まった。

 ホークス氏らは研究成果の中で、「現代人と5000年前の人類の遺伝的差異は、5000年前の人類とネアンデルタール人の遺伝的差異よりも大きい」としている。

 今回の研究は、国際的なゲノム研究プロジェクトのデータを分析するかたちで進められた。異なる4つの民族の270人のDNAを調べ、その遺伝的多様性、つまり一塩基多型性(SNP)を確認した。
 
 その結果、「現生人類の進化は、鈍化、横ばい、あるいは完全に止まっている」とする従来の認識と異なる事実が明らかになった。自然淘汰の速度は、現生人類になっていっそう増していたのである。

「爆発的な人口増と、文化や生態系の著しい変化により、人類の適応の可能性が広がった。過去1万年の間に、人類の骨格や歯は急速に進化し、食餌や疾病に対する遺伝的反応にも数々の変化が生じた」

 欧州大陸やアジア大陸への移動により、人類は、皮膚の色素沈着が弱く(ビタミンDの産出量増加につながる)、寒冷気候や食餌の変化に適応しやすい体へと進化していった。

 文化に対する遺伝的適応の一例としては、乳を分解するラクターゼ酵素を作る遺伝子が上げられる。

 ラクターゼ遺伝子は通常、10代になると活動を停止する。だが北欧人では、成人になっても乳を分解できるよう、ラクターゼ遺伝子に変異が見られる。この遺伝的適応は比較的新しいもので、北欧諸国で酪農業が盛んなことと直接的にかかわっていると見られる。

 研究チームに参加した米ユタ大学(University of Utah)のヘンリー・ハーペンディング(Henry Harpending)教授(人類学)は、「人類は多様な進化を遂げつつある。遺伝子進化の速さは特にヨーロッパ、アジア、アフリカで顕著だが、そうした進化のほぼすべては、その大陸に固有なものだ。つまり人類はますます多様化しつつあり、さまざまな特性が混ざり合った1つの民族へと統合される方向へは向かっていないということだ」と語る。

 ハーペンディング氏は多様性が生まれた理由として、4万年前に人類がアフリカから他の大陸に移住して以降、「地域間の遺伝子の交流があまり見られなかったためだろう」としている。(c)AFP