【12月7日 AFP】オーストラリアで発掘されたカンガルーの祖先の化石を分析した結果、先史時代のカンガルーは現在のように跳躍はしていなかったことが明らかになった。

 化石の分析を行ったオーストラリアのラトローブ大学(La Trobe University)の古生物学者Ben Kear氏は地元紙The Ageに対し、「これはカンガルーの非常に遠い先祖」の化石だと語った。

 Kear氏によると、このカンガルーの化石はクイーンズランド(Queensland)州で1990年代にほぼ完全な姿で見つかったもの。2500万年前、現代のカンガルーの直系の先祖が現れる前に生息していた、絶滅類のカンガルーbalbaridaeの系統に属する新種、Nambaroo gillespieaeとされている。

 Nambarooは小型犬ほどの大きさで、イヌのような牙があり、「大きく、力強い」前足を持っていた。ことのことから、前足と後ろ足を使って走り、フクロギツネのように跳ね回っていたとみられている。また、親指がほかの指と向かい合う対向指となっている大きなつま先と、柔軟な足は、現代の木登りカンガルーのように登る能力があったとされている。

「カンガルーの祖先は、低い枝に登り、森の中を跳ね回り、キノコを食べ、地面に落ちた木の実を食べていた。現代、われわれが目にする普通のカンガルーから想像する姿とは大きく異なっている」とkear氏は話している。

 さらに、このカンガルーの骨格から数百万年前に気候変動がカンガルーの進化に与えた影響を調べられるという。カンガルーの先祖は、地面が乾いて草原が出現した1000万年-1500万年前に、進化の過程で大型化し、飛び跳ねて草を食べるようになったと考えられている。研究者らは、Nambarooの骨格の研究が、カンガルーの進化のきっかけを解き明かす重大な鍵となるとみている。

 研究結果は米国の古生物学会誌『Journal of Paleontology』の最新号に発表されている。(c)AFP