【8月23日 AFP】ティラノサウルスはただの恐ろしい肉食恐竜ではなく、実はある程度の俊敏さも兼ね備えた生物だった。英マンチェスター大学の研究チームが22日、英国の権威ある科学アカデミー、「英国王立協会(Royal Society)」の紀要に研究結果を発表した。

 英北西部にあるマンチェスター大学(University of Manchester)の研究チームは、ティラノサウルスが走る際の最高時速を28.8キロメートルだったと計算。これはプロのサッカー選手よりもわずかに速い。

 6トンの体重を誇るティラノサウルスがどれぐらいの速度で走れるのか。この問題は、これまで研究者の間では謎とされてきた。足の筋肉が付きすぎていることから、走れなかったのではないかとの議論もあった。

 しかし、同校で生体力学を専門とするビル・セラーズ(Bill Sellers)氏と古脊椎動物学者のフィル・マニング(Phil Manning)氏は、スーパーコンピュータを使って、2足歩行する5種の肉食恐竜の走行速度を特定することに成功。

 化石から推測される骨格と筋肉組織、最適歩行、最適姿勢に基づき計算された。

 その結果、プロの運動選手の筋肉と骨格を備えた体重70キロの人間の場合、走行時速は最高で時速28.5キロメートルで、ティラノサウルスの最高時速をわずかに下回る。

 なお、体重20キロのベロキラプトルの最高時速は、38.6キロメートル、体重430キロのディロホサウルスは時速37.8キロメートル、1.4トンのアロサウルスは33.8キロメートルだった。

 また、およそ1億5000万年前に生息した体重わずか3キロのコンプソグナトスは、現在生息する2足歩行動物としては最速とされるダチョウ(体重65キロ)の最高時速である56.32メートルよりも、さらに8キロメートル速いという結果が出た。(c)AFP